郡上八幡という町には 目を見はるような絶景や 今はやりのテーマパークなどの施設はなく、 四百年の間 歌い踊り継がれた郡上おどりの伝統と 山あいにいだかれた昔ながらの町並み、美しい水の流れ。 観光地と呼ぶにはちょっともの足らないかもしれません。
都会の人たちは「奥美濃の小京都」なんて洒落た名で呼んでくださいますが 住む方にとってはそれもちょっと照れくさい気がします。
ただ町にいながら手のとどくところに山の木々があり、 どこにいてもかたわらの清流にその手を浸すことができる...。 かつては日本各地で見られたはずの心の原風景がここにある...。 郡上八幡とは、そんな町です。
郡上八幡六佳撰 (六歌仙)
.... 霧たちのぼる秋の夕暮れ
郡上八幡暮色
朝夕に霧が漂う郡上八幡の晩秋。これは田畑や河川からの水蒸気が冷却によって現れるもので健全な水循環環境が残っていることを示すバロメーターだそうです。町の周囲の宅地化がすすみ、かつてと比べるとその回数は減ってきましたが、いつまでも残したい風景のひとつです。
夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを....
郡上おどりの明け方
東の空が白みはじめる頃になっても郡上おどりのお囃子や手拍子は止むことなく続きます。夏の短か夜を惜しむような哀調と踊り明かしたほどよい疲れとがしっとりと町全体に漂うひと時です。
.... わが身ひとつの秋にはあらねど
錦秋の郡上八幡城
全国に桜の名所とされるお城は多々ありますがこの郡上八幡城は花よりモミジ。紅葉の名所として知られています。白亜の天守閣に燃えるような真紅のモミジはまるでその白壁を染めるような見事な秋の色を見せます。
.... 春たつ沢に湧き出づるかな
日本名水百選 宗祇水
天然の湧水が随所に見られる郡上八幡でその筆頭にあがるのがこの宗祇水です。石畳の坂道、大きな蔵屋敷、水面に影をおとす柳の古木。千年を経て今なおコンコンと湧き出る清らかな清水は、室町時代に時の二大歌人である飯尾宗祇と東常縁が別れを惜しんで歌を詠みあったとされる風雅さの残る史跡です。
.... 戀ぞつもりて淵となりぬる
清流 吉田川
町の真ん中を川底の石が数えられるくらい透きとおった水が瀬をなし淵をなして流れてゆきます。絶えることなく流れゆくのは水だけではなく時の流れ。そして清らかな水はこの町では人の心の中を流れているのです。
.... なほあまりある昔なりけり
城下町のおもかげを残す職人町、鍛冶屋町界隈
辻のつきあたりには寺があり、道の両側には清らかな水が流れる、これが典型的な郡上八幡の町並みの風景です。格子造りの家や二階に隣りの家とのしきりとなる袖壁の家。道行く人を重んじる角掃き、水打ちを欠かさぬ町びとの昔ながらの生活がこの町にはあります。











